1506年の法医学書の創傷に関する図
イギリスでは、かつてロンドンの病院で法医学部長を務めていたジェームズ・キャメロン教授が、警察官を対象とした講習で、
聖骸布の像を「本物の殺人」の証拠として扱った。キャメロンによれば、「はりつけのせいではないような負傷として、輪郭がぼんやりとして見づらいものの、この身体には似通った形の打撲傷が点在しているのが観察できる。その形から、それらの打撲傷は金属の小球をはめ込んだ重い鞭によるものであることが推論される」という。このような鞭は、驚くべきことに、考古学の発掘で発見されるローマ時代のフラグルム(鞭の一種)にぴったり一致するのである。
左:外傷が認められる箇所の聖骸布
右:外傷はローマ時代の鞭によるもとされる
この鞭を犠牲者の背後から打ちつけたとすれば、それによってできるあざは、聖骸布の像の肩やふくらはぎ部分に残る扇形の打撲傷やみみず腫れと、見事に一致する。
さらに、史料によれば、はりつけにされる犠牲者は、自分がはりつけにされる重い十字架、あるいは横梁りを、伸ばした両腕を横梁りに縛り付けられた状態で自ら刑場まで運ばねばならなかった。すると犠牲者が右利きの場合、つまずいた時には、キャメロンによればほとんど100パーセントの確率で左膝を地面につくことになる。
聖骸布の像のまさにその箇所に、擦り傷が見られるのである。
Prof.JAMES CAMERON